Hütte on the moon.

いだてんぐの小説置き場です

兎と虎と鷹と

「そういえば兎月くん、苗字はなんというんだ?」

 

「苗字、と言いますと」
「兎月というのは下の名前だろう?」
「いえ、苗字です。フルネームは兎月遊鷹、遊ぶに鳥の鷹と書いて遊鷹です。」
「……鷹?」
「はい、そうですけど」
「兎月と言うから草食動物だと思っていたのに、とんだ猛禽類じゃないか!騙された!詐欺だ!」
「兎ではありますが詐欺ではありません」
「誰が上手いことを言えと言った!」
「大体、先輩だって虎じゃないですか。猛獣と猛禽類なら釣り合いは取れていますよ」
「つっ、釣り合いって……まだ、私たちはそういう関係では……」
「あ、そうだ。河原さんから実験の準備頼まれてるんだった……先輩、すみませんが僕はこれで」
「えっ……おい、兎月くん!?私も行くぞ、リーダーだからな!
……まったく私の気も知らないで」
「?どうしたんですか?行くなら早くしないと、河原さん来ちゃいますよ」
「今行く!」