Hütte on the moon.

いだてんぐの小説置き場です

座る

今日の任務はハードだった、とあやめは伸びをしてベッドに座り込んだ。

 

「お疲れ様、あやめ」
ココアで満たされたペアマグを手にした古都がその隣に腰掛ける。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!
……それにしても3件も出動があるなんて」
休む暇もなかったよ。忙しさに堅くなった心が、手の中の温もりによって融かされていく。
口の中にはとろけるような甘さ。お湯と牛乳の絶妙なバランスで組み立てられたそれは、あやめのためだけのオーダーメイド。
ふかふかのマットレスと隣にいる恋人に体を預けると、今日の疲れが吹き飛んでいく気がした。
「今日はなんだか甘えたい気分だなー」
「今日も、じゃなくて?」
「んー……そうかも」
サイドテーブルで2つのマグがキスをする。

 

シングルベッドに座る2人のシルエット。
その影がやがて1つになり、暗闇に溶け込んでいった。