Hütte on the moon.

いだてんぐの小説置き場です

流星のような、恋

恋はまるで流星のようだ。
前触れもなく降り注ぎ、心を捉えて離さない。

 

「あっ、古都!見て見て、オリオン座だよ!」
よく磨き上げられたガラス窓のような透き通った空気に、白い吐息が溶けて消えた。黒いキャンバスに散らされた無数の星があやめの柘榴色の瞳に映る。
「本当だ、もうすっかり冬だな」
手を伸ばせば届きそうな銀色。夜空と同じ色をしたマフラーを北風に揺らしながら、古都は満天の星空を見上げた。
冷え切った指先が触れる。刹那、あやめと古都の視線が交差した。
「寒いね」
「ん、寒い」
右手と左手が惹かれ合う。ゆっくりと、交じる体温。街灯に照らし出された影が一つに繋がった。
「──肉まんでも買ってく?」
「さんせーい!」
無邪気に微笑む彼女の横顔を見て、古都は眩しそうに目を細める。
「……綺麗だな」
「んー?」
「星」
あやめは少し不思議そうに首を傾げたが、再び空へと視線を向けると「そうだね」と頷いた。

 

流れ星が何度も地上に降り注ぐように
オレは君の笑顔を見るたび恋に落ちる。