Hütte on the moon.

いだてんぐの小説置き場です

2017-10-02から1日間の記事一覧

ネコ

それはどこまででも深く潜れそうなキトゥンブルー。 よたよたと頼りない足取りで白い毛玉が板張りの廊下を歩く。 一歩踏み出す度に、姉は歓声を上げた。 「可愛い!可愛いねえ、この子!」 「姉ちゃん、こいつが来てからそれしか言ってねえな」 「うるさい、…

金色の風はセンチメンタルを連れてくる。それは夏から遠ざかった故の冷たさをその身に纏っているからだろうか。ぴゅうと駆け抜ける北風に古都は思わずウイッグを押さえる。ちょっとやそっとでは取れはしないとわかっていても、やはりこういうときは少し怖い…